「中学になったら、どうするの?」
誰かに聞かれるたびに、うまく答えられない自分がいます。
息子は今、小学6年生。自閉スペクトラム症の診断を受けて、支援学級に在籍しています。金管バンドに入って、放送委員会にも手を挙げた。去年と比べたら、見違えるほど安定している。
それでも、この問いだけは、まだ答えが出ません。
支援学級か、普通級か。
この記事は、その答えが出ていない今、書いています。決断した話ではありません。迷っている話です。
同じように迷っているお母さんがいたら、少し一緒に迷ってほしくて、書きました。
6年間の選択を振り返って、今また同じ問いの前に立った
息子は小学校で、2回転籍しています。
入学時は支援学級でスタートしました。小2の春に普通級へ。手応えがあった。でもそこから環境が崩れ、息子も崩れ、小5でまた支援学級に戻った。その話はこちらの記事に書きました。
2回の転籍を経験したあと、私が一番痛感したのは「選んだ瞬間が正解でも、環境が変われば答えが変わる」ということ。
そして今、また同じ問いが目の前に来ています。
違うのは、相手が中学だということ。小学校と中学校では、選択肢の重みが違う。この先の高校受験にも、進路にも、直接つながってくる。
就学相談のときも、「どちらが合っているか」を必死に考えた。今もまた、同じように考えています。
担任の先生が言った言葉——「居場所があれば、挑戦できる」
先月、担任の先生と面談がありました。
その日の午前中、ちょっとしたエピソードがあったと先生から聞きました。6年生が1年生の体力測定をサポートする時間があって、息子も参加した。でも担当していた支援学級の1年生が含まれておらず、息子だけ役割がなくなってしまったそうです。
「どうしたと思いますか?」
先生が聞いてくるから、私は少し構えた。
「支援学級の授業(朝マラソン)に遅れて合流してきたんです。他の子はもう走り終わっていた。先生が『何週走る? 5週な、ちょうど1kmだ』って伝えたら——はい! って元気に返事して走り始めて」
2年前の息子からは、想像できないやり取りです。
役割がなくなった。置いてけぼりになった。そういう場面で、以前の息子は固まるか、荒れるか、どちらかでした。
それが自分で動いた。
先生は面談の最後に、こう言っていました。
「安定した居場所があるとわかっていれば、ちゃんと自分の限界のちょっと上に挑戦していくんですよね。」
この言葉が、今も耳に残っています。
支援学級を選ぶと「内申点がつかない」——知らなかった事実
先生との面談で、もうひとつ知ったことがあります。
支援学級の授業だけで過ごしていると、内申点に影響が出やすい。
正確に言うと「つかない」ではありません。都道府県や学校によって異なりますし、通常学級との交流学習(交流授業)が多ければ、その授業の評価が内申点に反映されることもある。
ただ私の住んでいる県の実態として、支援学級籍で交流学習が少ない場合、9教科の内申点が十分につかないことがあると聞きました。
私は、これを知りませんでした。
公立高校の入試では、中1から中3の3年間の内申点が評価の対象になります(9教科×5段階の5点満点、3年分)。支援学級に在籍したまま中学3年間を過ごした場合、その内申点がどうなるか——事前に把握しておくべき情報でした。
中学進路を調べ始めた頃に、知的障害がなくても使える制度があることは調べていました。でもまさか内申点に影響するとは、そこまで考えられていなかった。
知らないまま決めてしまうのが、一番もったいない。
普通級を選ぶことへの不安——中学特有のいじめ・SNSの問題
じゃあ普通級を選べばいいのかというと、そちらにも不安があります。
小学校のいじめとは、中学のいじめは性質が違う。あの地域の中学は、正直あまりいい話を聞きません。先生に見えにくい場所でのやり取り、SNSを使ったやり取り——私が一番怖いのは、表面に出てこないものです。
息子はSOSを出すのが苦手です。うまくいっていないことを、黙って抱えようとする。プライドがあるから、「助けて」が言えない。
でも、「隠そうとしているけど隠しきれていない」状態のときは、私には分かります。いつもと違うちょっとしたこと——ご飯の食べ方、返事のトーン、何を喋って何を喋らないか——の積み重ねで、だいたい何かあるなと察知できる。
察知したら入口を作ると、ボロボロ出てきます。
それでも中学になって、私の目が届かない時間が増えたとき、同じように察知できるのかどうか。そこがまだわからない。
発達障害の子が学校に行けなくなる理由を書いたとき、「環境が合わないことが積み重なった結果」だということを改めて認識しました。どの学級を選ぶかは、その「環境」の話でもある。
SSWに言われた「中1支援学級→中2転籍」という提案
スクールソーシャルワーカーに相談したとき、こんな提案を受けました。
「中1は支援学級で安定させて、中2以降に普通級への転籍を考えるのはどうでしょう。」
理由は内申点です。
中2・中3で普通級に移れば、その2年間で内申点を積み上げることができる。中1の内申点が低くても、中2・中3でカバーできる可能性があるということでした。
ただし「中2で転籍」と決め打ちするのではなく、本人の状態を見ながら判断する、というのがSSWの言葉でした。中1の環境になじめなかった場合、転籍自体が難しくなることもある。
担任の先生とも話しました。今のところ「中1は支援学級でスタートして、中2以降で普通級転籍を試みる」という方向性が、お互いの間で「いいのではないか」という話になっています。
ただしこれも、まだ決定ではありません。
制度の非対称性に、現場の先生も怒っていた
担任の先生から聞いた話で、もうひとつ引っかかっていることがあります。
「不登校の子は公立高校入試で配慮される方向に変わってきている。でも支援学級の子はなかなか配慮されない。現場としては、イライラします。」
先生は率直にそう言っていました。
不登校の生徒に対しては、「不登校生徒に係る特別な選抜」という制度があり、出席日数や内申点の扱いが通常とは異なる選抜が行われることがある。でも支援学級に在籍している子には、そういった制度的な枠組みがほとんどない——これは制度の実態として正しいと、私も確認しました。
不登校を選んだことには配慮があって、支援を選んだことには配慮がない。
その非対称性を、先生も「おかしい」と思っている。私も、おかしいと思います。
でも、それが今の制度の現実で。その中で息子の選択肢を考えなければいけない。
答えは出ていない。でも、考え続けることをやめない
この記事を書きながら、改めて整理できたことがあります。
内申点の問題。制度の非対称性。普通級のリスク。支援学級を選ぶことの意味。
どれも、答えが出ていません。
6月に中学校の支援学級を見学して、スクールソーシャルワーカーとも面談する予定があります。担任の先生とも、また話し合う。息子本人とも、少しずつ話していく。
まだこれからです。
でも——答えが出ていないということは、まだ考えられている、ということだと思っています。
決められない自分を責めることを、やめました。決めるのが怖いのではなく、それだけ真剣に考えているのだと、今は思えます。
同じように迷っているお母さんへ。
あなたが迷っていることは、当然のことです。迷えているということは、考えているということです。答えが出ていない今日も、ちゃんと前に進んでいます。


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