発達障害の子が学校に行けなくなる理由と、親が最初にできること——小学生ケースを中心に

息子が学校に行けなくなったとき、私は「突然だ」と思いました。

前日まで普通に登校していたのに、朝になったら動けない。理由を聞いても「わからない」としか言わない。あのときは本当に、何が起きたのか分からなかった。

でも、あとから振り返ってみると、サインはずっとあったんですよね。私が見えていなかっただけで。

発達障害のある子どもたちは、毎日少しずつ、見えないところで消耗しています。感覚の苦手さ、集団のざわめき、「みんなと同じようにやって」という無言のプレッシャー——そのひとつひとつは些細に見えても、積み重なれば限界を超えます。

自分の経験と、その後に調べたことをまとめました。同じように悩んでいる方に届いてほしいと思っています。

なぜ発達障害の子は不登校になりやすいのか

感覚過敏・集団のしんどさ

発達障害のある子の中には、感覚がとても敏感なケースがあります。「わがまま」や「気にしすぎ」ではなく、神経系の特性として、そうなっています。

たとえば——

  • 給食の匂いが強くて食堂に入れない
  • 体育館のざわめきや反響音が耳に刺さるように響く
  • 上履きや制服の感触が1日中気になって集中できない

こういった感覚の困りごとは、本人にしか分かりません。「みんなは大丈夫そうなのに、なぜ自分は……」という自己否定を積み重ねながら、毎日登校している子がいます。

「普通にやって」が積み重なる疲労

集団の中には、暗黙のルールがたくさんあります。「並んで待つ」「先生の話を静かに聞く」「休み時間は友達と遊ぶ」——発達障害のある子にとって、こうした「自然にできること」が、実は相当なエネルギーを要します。

「急に来なくなった」という印象を持つことが多いですが、実際にはずっと合わせ続けて、ある日力が尽きたという状態だと思います。

私自身も、息子が行けなくなったとき最初はそう感じました。でもあとから「ああ、あのときから疲れてたんだ」と気づく出来事がいくつもありました。

学童・放課後の困り

学校だけではありません。放課後の環境——学童や放課後等デイサービスなど——でも、同じように「合わない場所」があります。

私の息子の場合、学童での人間関係のトラブルが積み重なったことで、学校生活全体に影響が出ました。その経緯はこちらに書いています。

小1の春、学童をやめた——息子が荒れた本当の理由

不登校の「予兆」を見落とさないために

「不登校」と「登校しぶり」は、似ているようで段階が違います。

登校しぶり不登校
状態行きたいけど行けない・強く嫌がる継続的に欠席している状態
期間の目安断続的年間30日以上の欠席が目安(文科省)
対応の方向性早めに把握・対話する学校・専門機関との連携が必要

登校しぶりの段階で気づいて動けると、選択肢が広がります。

登校しぶり・身体症状のサイン

子どもが口に出さないとき、体が先にサインを出していることがあります。

  • 朝になると腹痛・頭痛・吐き気を訴える
  • 前日の夜から「明日行きたくない」と言い始める
  • 準備が極端に遅くなる・制服を着るのを嫌がる
  • 理由を聞いても「わからない」「別に」としか言わない

言葉にできないのは、本人も自分がなぜ苦しいかを分かっていないことが多いからです。「言えない」のではなく「分からない」——そう思うと、少し受け止め方が変わるかもしれません。

「仮病かな」と思いたくなる気持ちはわかります。私もそう思ったことがあります。でも後から振り返ると、あれは本物のしんどさだったと分かりました。「どうして?」より先に「しんどかったんだね」と受け止めることが、次の会話につながると感じています。

学校以外の場所でも変化が出る

学校では頑張れても、家に帰ってきてから爆発する——「帰宅後荒れ」は、うちの息子にもありました。外で溜め込んだものが、安心できる場所で出てくるんだと思います。

「学校は行けているから大丈夫」ではなく、生活全体を見て変化に気づくことが大切だと、自分の経験から感じています。

まず、どこに相談するか

「どこに行けばいいかわからない」——これが一番の壁でした。私がそうでした。

担任・特別支援コーディネーター

最初の相談先は担任の先生です。そして担任と並行して、または担任から紹介してもらう形で特別支援コーディネーターにもつないでもらうことをおすすめします。

特別支援コーディネーターは、すべての学校に1名以上配置されている役割です。校内の支援体制を調整してくれます。

フリースクール等への通所を「出席扱い」にしたい場合も、この方に相談するのが最初の一歩です。文部科学省の通知に基づいて出席扱いになる場合がありますが、校長・担任との事前の話し合いが必要で、自治体や学校によって対応が異なるようです。まず確認してみてください。

相談支援専門員の役割

学校とは別に、福祉の側から家族を支えてくれるのが相談支援専門員です。

制度の説明から、使えるサービスのコーディネートまで、親の「困り事全般」を一緒に整理してくれます。私は偶然の積み重ねでこの方と出会いましたが、あの時期の大きな支えになりました。

相談支援専門員と出会えたのは、偶然でした

自治体の相談窓口

どこに連絡すればいいか迷ったときは、こちらの記事も参考にしてください。

発達障害の子を持つ親、相談はどこへ——窓口の使い分けまとめ

学校との連携をどう取るか

「休ませる」判断の基準

「休ませていいの?」と迷う時期がありました。

休養が必要な時期は、確かにあると思います。一方で、学校との連絡を絶やしてしまうと、後から動き直すときに選択肢が狭まることもあります。「休む」と「学校と関わり続ける」は、両立できます。

連絡のタイミングと伝え方

学校への連絡は、できれば毎朝定時に入れる習慣をつけておくことをおすすめします。「今日も休みます」の一言でも構いません。「子どもの様子で気になること」を一言添えると、担任も動きやすくなります。記録として残しておくと、後々の面談や支援会議でも役立ちます。

支援の組み合わせ方

支援学級の籍は維持できる

不登校になっても、支援学級の籍は手続きなしに外れることはありません。転校・退学・転籍の手続きをしない限り、籍はそのまま維持されます。

また、校内の別室登校・保健室登校でも「出席」として扱われます。教室に入れない時期でも、「学校にいること」を起点にした選択肢があります。

ただし、これらを活かすには学校との連絡を絶やさないことが前提になります。

支援学級・通級との関係

「支援学級」と「通級指導教室」は、別の仕組みです。

通級指導教室は、普通級に在籍したまま、週に数時間だけ別室で個別の指導を受ける制度です。「普通級で基本的には過ごせるけれど、一部サポートが必要」という子に使われます。息子も小2〜小4の頃に利用していました。

なお、通級指導教室を利用している状態で不登校になってしまった場合は、通級自体にも「行く」ことが難しくなります。そのときは担任や特別支援コーディネーターに相談し、支援の形を一緒に考え直してみてください。

支援学級は、支援を主体とした学級に在籍する形です。普通級との交流授業を組み合わせながら過ごします。転籍の経緯と、その後の変化についてはこちらに書いています。

支援学級に戻ることを選んだ日——転籍2回の記録と、息子が変わった話

フリースクール・在宅支援の選択肢

フリースクールは、学校以外の学びの場として選択肢のひとつになります。文部科学省の通知に基づいて出席扱いになる場合がありますが、校長・担任との事前協議が必要で、自治体や学校によって対応が異なります。まず担任か特別支援コーディネーターに確認してみてください。

在宅支援については、放課後等デイサービスの中に、スタッフが自宅に来てくれる訪問型の支援を行っている事業所があります。放課後等デイサービスの選び方や利用方法については、こちらにまとめています。

放課後等デイサービスとは——対象・費用・選び方・受給者証の申請まで

親が追い詰められないために

「どうして行けないの」と言いたくなる気持ちと向き合う

正直に書きます。私も言いそうになったことがあります。「なんで行けないの」「昨日は行けたじゃない」——そういう言葉が、喉まで出かかったことが何度も。

でも今なら分かります。あのとき息子はもう限界だったし、私も限界だった。「どうして」と言いたくなるのは、それだけ必死だったからです。その気持ちは、責められるものじゃない。

「そう思ってしまう自分は冷たい親なんじゃないか」と感じているなら、そうじゃないと伝えたい。毎日考えて、毎日悩んで、それでもどうにかしようとしているから、その言葉が出てくるのだと思います。

一人で抱えないための選択肢

親も疲れていい。疲れたときの相談先があっていい。

担任・コーディネーター・相談支援専門員・スクールソーシャルワーカー——使える窓口は複数あります。一人で全部抱えることが、必ずしも子どものためになるわけではないと、今は思っています。

まとめ

学校に行けなくなるとき、それは「突然」ではなく、長い疲労の積み重ねの結果であることが多いと思います。

まず大切なのは、その背景を知ること。そして「今からでもできること」に目を向けること。

支援学級の籍は守られます。相談できる窓口があります。一緒に動いてくれる人が、必ずどこかにいます。

あなたが悩んでいることは、あなただけのものではありません。子どものために動き続けてきた、その事実は変わりません。

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