発達障害の子と中学の内申点問題——支援学級ではなぜ内申点がつかないのか、親が知るべき現実

中学進学を前に、こんな不安が頭をよぎったことはありませんか。

「支援学級を選んだら、内申点はどうなるの?」
「高校受験のとき、不利になるって本当?」

うちの子もまさに今、この問いの真ん中にいます。答えはまだ出ていない。でも、知らないよりは知っておいた方がいい——そう思って調べ、担任の先生や相談先の方々から聞いた話をここにまとめます。

制度の話は難しそうに見えますが、一つずつ整理すると「なぜそうなっているか」が見えてきます。知ることで、選択肢が増えます。

小学校と中学で、成績のつけ方はこんなに違う

小学校の通知表を思い浮かべてください。「◎・○・△」や「A・B・C」という3段階の評価か、先生の言葉による所見が中心だったはずです。

中学に入ると、これが大きく変わります。

中学校は5段階の数値評定(絶対評価)

1〜5の数字で評価されます。しかも「相対評価」(クラスの中での順位で決まる)ではなく、「絶対評価」(決められた基準に達しているかどうかで決まる)が現在の基本です。

この5段階の評定が、高校入試に必要な「内申点」に直結します。

5段階評価は3つの「観点」で決まる

「テストの点数で決まる」と思っている方も多いですが、実はそうではありません。

中学の成績は、3つの観点を組み合わせて評価されます。

①知識・技能

  • 学んだことを理解・記憶しているか
  • 主にテストで測られる

②思考・判断・表現

  • 学んだ知識を使って考えたり、表現したりできるか
  • テストの記述問題 + 提出物(レポート・課題など)で測られる

③主体的に学習に取り組む態度

  • 意欲的に学んでいるか、継続しているか
  • 提出物の提出状況 + 授業態度が大きく影響する

なお、3つの観点のそれぞれについて、何をどのように評価するかの具体的な基準は、授業開始前または最初の授業で担当の先生から説明されます。教科ごとに内容が違うため、学年始めにしっかり確認しておくと良いと思います。

テストで高得点を取っても、提出物を出していなければ評定が下がります。逆に、テストが苦手でも提出物を毎回きちんと出し、授業に真剣に向き合っていれば評価される部分があります。

発達障害のある子にとって「③主体的に学習に取り組む態度」の部分は、特性によって評価が難しくなることがあります。見た目の「態度」だけで判断されないよう、先生との個別相談が重要になる場面です。

「うちの子はADHD(または自閉症)の特性があり、じっと座っているのが難しい状態です。それでも授業内容は理解しています」——こうした特性を担任・教科担任に伝えておくことが、適切な評価への第一歩になります。

支援学級の通知表は「言葉」で書かれる——5段階評価ではない理由

ここが、多くの親が「知らなかった」と言う部分です。

支援学級(特別支援学級)では、通常の5段階評定がつきません。

なぜか。仕組みの違いを説明します。

普通学級の子は「学習指導要領で決められた共通の目標」に向かって学びます。その達成度を3つの観点で数値化したものが、5段階評定です。

支援学級の子は「その子一人ひとりの目標(個別の指導計画)」に沿って学びます。「○○さんは、一対一の場面で自分の気持ちを言葉にできるようになる」といった、その子に合った目標です。

共通の基準がないため、共通の数値評定がつけられないのです。

代わりに、支援学級の通知表には文章(所見)で記載されます。「○○への取り組みに意欲が見られました」「△△の場面で自分から発言できるようになりました」といった形です。

これは決して「評価されていない」ということではありません。ただ、この文章評価は内申点(数値評定)として換算されない。そこが問題になります。

交流学習の教科は例外がある

一点、補足しておきます。

支援学級の子が普通学級の授業に一緒に参加する「交流及び共同学習」(交流学習)を行っている場合、その教科については数値評定がつくケースがあります。どの教科・どの程度参加するかは学校によって異なるため、担任の先生に確認してみてください。

内申点がないと何が困るのか——高校進学との関係

中学校では3年間の成績が「調査書(内申書)」にまとめられ、高校入試の出願時に提出します。

支援学級で学んだ教科は、この調査書の評定欄が「—(なし)」または空欄になります。

公立の全日制高校(普通科・工業科・商業科など)は、内申点を選考の重要な基準にしています。

評定なしの科目が多いと、選考で著しく不利になる——というのが現実です。

「じゃあ、支援学級を選んだら全日制の高校には行けないの?」

そういうことではありません。ただ、内申点の扱いを理解した上で、いつ・どう動くかを考えておく必要があるということです。

制度の非対称性——普通学級の不登校生徒と支援学級の子の扱いの差

担任の先生から聞いた話を、そのままお伝えします。

最近、普通学級で不登校だった生徒への配慮が広がってきているそうです。長期欠席があっても、公立高校の入試選考で柔軟に対応する方向に変化しつつある、と。

一方、支援学級在籍の子への配慮は、まだ制度として整備されていません。都道府県によっても対応が異なり、全国的に見ても整備途上です。

先生は「現場としてもどかしさを感じている」とおっしゃっていました。

これは批判ではなく、現状の報告です。でも、この非対称性を知っているかどうかで、親としての準備が変わってきます。

※支援学級在籍の場合の高校入試の扱いは、お住まいの自治体・各高校の判断によっても異なります。気になる高校については、中学校を通じて早めに確認することをおすすめします。

親として考えられる選択肢

「では、どうすればいいか」というところまで書いておきます。あくまでも選択肢の一つとして、参考にしてください。

選択肢①:中1は支援学級、中2以降に普通学級へ転籍する

スクールソーシャルワーカー(SSW)から教えてもらった方法です。

中学1年生は支援学級でスタートし、環境に慣れることを優先する。その後、本人の状態を見ながら中2以降に普通学級へ転籍し、内申点を取れる状態を作っていく——という考え方です。

「中2」はあくまで目安です。転籍のタイミングは、お子さんの状態・学校環境・本人の意向によって変わります。

転籍の流れ(一般的な例):

  1. 保護者が担任・特別支援コーディネーターに意向を伝える
  2. 学校内で検討(担任・コーディネーター・管理職)
  3. 教育委員会への相談・承認
  4. 転籍決定 → 次年度4月(新学年スタート)から実施

転籍は基本的に4月からになります。ただし、どちらの方向に動くかで、準備を始めるべき時期が変わります。

  • 支援学級 → 普通学級への転籍は、手続きや調整に時間がかかるため、10月頃には相談をある程度進めておかないと翌年度4月に間に合わないことがあります。こちらは早めの動き出しが重要です。
  • 普通学級 → 支援学級への転籍は、比較的年度内に手続きが整えば翌年度から対応できるケースが多いようです。

これはあくまで目安です。学校・自治体によって手続きの流れが異なりますので、気になった時点で担任の先生や特別支援コーディネーターに相談することをおすすめします。

なお、転籍を検討する際には、お子さん自身の気持ちを確認することも大切です。環境の変化に不安を感じやすいお子さんの場合は特に、「どんな場所で過ごしたいか」を一緒に話す時間を持つことが、移行後の安定につながります。

また、転籍後に「合わなかったので支援学級に戻りたい」という場合も、手続きを経て戻ることはできます。ただし、学校によっては時間や手続きが必要になるため、「簡単に行き来できる」とは言い切れません。

選択肢②:最初から普通学級でスタートする

普通学級でスタートすれば、在籍している期間の内申点が取れます。ただし、支援体制や人間関係など、環境が合うかどうかの見極めが必要です。

選択肢③:通信制高校・定時制高校など、内申点の比重が低い進路を選ぶ

全日制の公立高校にこだわらなければ、選択肢は広がります。通信制高校や高等専修学校は、内申点よりも本人の意欲や面接を重視するケースがあります。

まとめ——知っておくと、選択肢が増える

この記事で伝えたかったことを整理します。

  • 中学の成績は「テスト+提出物+授業態度」の3軸で決まる
  • 支援学級では、共通の目標がないため数値評定(内申点)がつかない
  • 内申点が少ないと、公立全日制高校の選考で不利になる
  • 不登校生徒への配慮は広がっているが、支援学級の子への整備は遅れている
  • 中1支援学級→中2以降普通学級転籍という選択肢がある

「支援学級を選ぶと高校受験で不利になる」という話は本当です。でも、その事実を知った上で、いつ・どう動くかを考えることはできます。

私もまだ、答えを出していません。ただ、知らないまま「なんとかなる」と思っていたときより、今の方が少しだけ前を向けている気がします。

同じように悩んでいる方の、何かヒントになれば。

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