出社しただけで、汗まみれでした。
トイレの化粧直しゾーンで、ボディーシートで汗を拭いて、崩れた化粧を直していたときのことです。知り合いの女性と一緒になりました。彼女も鏡の前にいたので、私と同じで化粧を直しているのだと思っていました。
でも、そうではありませんでした。
「生理前でニキビが酷くて。隠してたんです」
「暑いからね、皮膚科は?」と、私は言った
その言葉を聞いて、私が最初に返したのはこれでした。
「暑いからね。汗が多いと肌が荒れるっていうよね。皮膚科行ってみれば?」
自分が汗を拭いている最中だったからだと思います。夏だし、汗のせいだろう、と。そういうことにしておいた方が、お互い気が楽だという感覚もあったかもしれません。
すると、彼女はこう言いました。
「何件も行ったんですが、全然変わらないんですよ」
何件も。
私は自分の見当が外れていたことに気づきました。
「あれ? 季節性のものじゃないんだ。生理前だから酷いの?」
聞くと、最近は特にひどいのだそうです。
「ずっとなら、ホルモンバランスの方かも」
彼女は30代の半ばです。
そう聞いたとき、私は自分のことを思い出していました。私も、その頃から「なんとなく体の調子が悪い」と感じるようになって、「加齢のせいだろうか」と考えていた時期があります。
月経周期によって肌の状態が変わると感じる人はいるようです。季節でもなく、皮膚科に何軒行っても変わらないのなら——そこまで聞いて、私が言ったのはこうでした。
「ずっとなら、ホルモンバランスの方なんじゃない? 婦人科いってみれば? 私も月経困難症で受診してるよ」
私自身、長いあいだ月経の量が多いことを「そういうもの」だと思って、婦人科に行かないままでした。その話は別の記事に書いています。だから、この言葉が出てきたのだと思います。
私が言いたかったのは、行く先をもう一つ足してみたら、ということでした。
「なんて言えば良いんですかね?」
彼女が返してきたのは、私が思ってもいなかった質問でした。
「やっぱ、そうなんですかね? なんて言えば良いんですかね?」
婦人科に行くとして、何と言えばいいのか分からない。——そうか、と思いました。行き先が分かっても、入口での言葉が分からないと、人は動けないのだと。
私は自分がどうしたかを話しました。
「私は貧血が指摘されてたから、健康診断の結果を持って、貧血が……月経の出血量が、痛みが……って感じで行ったよ」
「月経困難症って行けば良いんですか?」
そう聞かれて、私は慌ててこう言いました。
「実際病名をつけるのは医者だから、本当にそれかわからないけど。生理も気になる点あるの? 量多くて酷いとか?」
病名を持っていく必要はないと思っています。私が渡せたのは、健康診断の結果という紙と、症状をそのまま言えばいいということでした。初診で何をするのかについては、以前まとめたことがあります。
「多いかどうかは比べられないから、わからない」
彼女の答えが、私の記憶に残りました。
「多いかどうかは比べられないからわからないじゃないですか。そもそも不安定なんです。来たり来なかったり。多かったり、少なかったり」
——比べられない。
そうなんです。自分の月経の量が多いのか少ないのか、誰かと並べて確かめることはできません。私も長いあいだ、自分のそれが多い方だとは知らずにいました。血の塊が出ていた頃のことは、こちらに書いています。
私が返したのは、こんな言葉でした。
「20代後半から30代前半って安定していた気がするけど、ずっと安定しないなら受診しても良いかもね」
これも私の記憶の話です。安定しないことが必ずおかしい、という意味ではありません。ただ、気になる状態が続いているのなら、聞いてみるという選択肢はあると思いました。
診察が怖い、という抵抗のこと
「診察があるから抵抗がある感じ?」と聞くと、「それもあります」と返ってきました。
その気持ちは、よく分かります。私も38歳のとき、受付まで行って診察を受けずに帰ったことがあります(その日のことはこちらに書きました)。
だから、こう言いました。
「今は婦人科のオンライン受診もあるから、とりあえず受けてみれば? あとは……受診しやすい病院を探してみるとか」
女性の医師で、スタッフの対応も感じがいいという病院の話を、人から聞くこともあります。そういう探し方もあるのかもしれません。
「そこに行っているんですか?」と聞かれて、私は正直に答えました。
「私はもっと近所の、ネットで予約できる所に行ってる。利便性取っちゃってる。先生が男性でももう気にしてないし、先生もスタッフも的確な対応してくれれば気にしないから」
これは私の選び方で、正解というわけではありません。通いやすさを優先する人もいれば、話しやすさを優先する人もいるのだと思います。
そういえば、以前は「貧血」の話をしていた
この人とは、以前にも似た会話をしていました。
雑談のなかで、「貧血で引っかかって、内科で見てもらっている」という話が出たときです。私はこう返していました。
「その年での貧血なら、内科じゃないんじゃない?」
若い頃からずっとそうなら、その人の元々の状態ということもあるのかな、と私は思っています。でも、大人になってから言われるようになったのなら、どこかに理由があるのかもしれない、と。
私自身、内科を受診しても、これといった治療をされないままだった時期がありました。当時は子どもが通っていた小児科内科で、一緒に診てもらっていました。私の場合はそうだった、という話です。鉄を摂っても貧血が治らないことがある、と後から知りました(そのことはこちらに書いています)。
貧血を調べる入口は、内科でも婦人科でも、どちらもあると思います。私が言いたかったのは、月経に心当たりがあるなら、そちらの入口もあるということでした。
ちなみに今回、貧血のことを聞いてみたら、彼女はこう言いました。
「今年の健康診断は大丈夫だったんです」
貧血は、今年は出ていないのだそうです。
市販の薬でしのいでいた頃のこと
もうひとつ、思い出したことがあります。
婦人科に行くようになる前、私は自分の判断で、ドラッグストアで買える女性向けの飲み薬を使っていました。なんとなく体の調子が悪い。でも病院に行くほどでもない気がする。そういう時期に、手が届くところにあったのがそれでした。
その後、内科でも、それに近い漢方を出してもらっていた時期があります。
——そして、彼女も同じものを飲んでいると言っていました。
それを聞いたとき、私はこう言ったのを覚えています。
「それを飲むくらいなら、婦人科行きな。私も飲んでいたけど、結局婦人科のお世話にならないと解決しなかったよ」
私はそれで何年も過ごしてきました。ただ、私の場合は、それだけでは終わらなかった。原因のところに行き着くまでは、同じところを回っていたのだと思います。
おわりに
「そうなんですね。調べてみます」
彼女はそう言って、その場を離れていきました。
実際に動くかは、わかりません。もちろん、私が言ったことが当たっているとも限りません。それでも、ずっと気にしているようだったので、改善すればいいなと思っています。
症状が出ている場所と、原因のある場所は、違うことがある。——私が自分の体で長い時間をかけて知ったことを、こうして誰かに話す日が来るとは思っていませんでした。
自分の症状をどこに相談すればいいのか迷ったときのことは、私が歩いた道のりとしてまとめています。
この記事は、運営者(万樹)自身の受診や治療の体験と、自分なりに調べた内容をもとに書いています。専門家が内容を保証しているわけではありません。症状や治療のご判断は、体質や状況によって一人ひとり違います。気になることは、必ず主治医や専門医にご相談ください。


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