部屋の整理をしていたら、一枚の紙が出てきた。
器質性月経困難症診療計画書。
2024年10月、婦人科で作成してもらったものだ。現在の治療方針、起こり得るリスクと合併症——そう書かれた欄に、こんな言葉が並んでいた。
血栓症、不正出血、肝機能障害
飲み始めた頃にも説明を受けた。でも当時は「とにかく楽になりたい」という気持ちが先にあって、リスクの文字はどこかに流れていった気がする。
1年半後に改めてこの紙を見て、思った。
私、リスクに向き合えていたかな。
LEPには、リスクがある
フリウェルはLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)のひとつ。子宮腺筋症・子宮筋腫による月経困難症の治療として処方される薬だ。
効果は実感している。あれほど多かった経血量が落ち着き、毎月のあの地獄のような日々が変わった。それは間違いない。
ただ、診療計画書に書かれた3つのリスクも、事実だ。
血栓症
LEP服用中は血液が固まりやすくなる作用がある。非服用者と比べると血栓症のリスクは3〜4倍程度高まるとされている。ただし絶対リスクは低く、10万人あたり年間3〜9件程度。肥満・高血圧・喫煙・長時間同一姿勢はリスクをさらに高める要因になる。
血栓の初期サインとして注意が必要な症状:片足だけのむくみや痛み、突然の息切れ、胸痛。これらが出たら迷わず受診してほしい。
3ヶ月に一度、薬をもらいに受診する際には、毎回書面でチェック確認がある。息切れや胸の痛みはないか。不正出血はないか。そして——あざはないか、身体を強打していないか。
最初にこの項目を見た時、正直驚いた。あざが血栓リスクに関係するとは思っていなかった。傷ができると血液が固まりやすくなる。それが全身の血栓リスクにつながる。日常のこんな部分まで管理が必要なんだと、初めて知った。
長時間同じ姿勢でいないか、という項目もある。エコノミークラス症候群の確認だ。飛行機の中の話だけじゃなかった。デスクワークや長距離移動も同じリスクがある。
不正出血
服用開始から3ヶ月以内は起きやすい。長期服用中でも、飲み忘れやストレスで起きることがある。続く場合は受診のサイン。
肝機能障害
自覚症状が出にくいため、定期的な血液検査が重要。定期受診をさぼらないことが唯一の対策といっていい。
1年半飲んで、気になり始めたこと
診療計画書を作った1年半前には書かれていなかったことが、今の私には気になっている。
血圧だ。
3ヶ月に1度、薬をもらいに婦人科へ行く。毎回、受診のたびに血圧を測る。正常値に落ち着くまで少し時間がかかるようになってきた。直近の数値は131/77。「継続観察」という言葉が添えられた。
血栓症のリスク要因のひとつが高血圧。もうひとつが肥満。
私のBMIは29台だ。肥満の域に入る。
「飲み続けていいのか」ではなく「飲み続けるために何ができるか」——そう考えるようにしたのは、この頃からだと思う。
「向き合う」を選んだ理由
実は、主治医から薬の変更を打診されたことがある。
候補はアリサとジェノゲストの2つだった。アリサは子宮筋腫・腺筋症への効果がフリウェルとは変わる。ジェノゲストは効果が変わる上に、生理が止まる。どちらも今の私の症状には、フリウェルほど合わないと感じた。
変更の条件は「高血圧の管理ができないなら」だった。
つまり、血圧を管理できれば今のままでいられる。
それが「向き合う」を選んだ理由だ。薬を変えるより、生活を変える方を選んだ。フリウェルを飲み続けるための努力をする、という選択だ。
私が始めた3つのこと
① 朝のタンパク質——血糖値スパイクを抑えるために
血糖値が急激に上下することで、血管にダメージが蓄積する。これが血管年齢を上げる原因のひとつになる。
今まで食事でタンパク質を意識したことはほとんどなかった。朝にゆで卵を1個食べる習慣はあったが、「タンパク質のために」という意識はなかった。そこにプロテイン1杯を加えることにした。意識して取る、初めてのタンパク質だ。
高タンパク低糖質の朝食は、1日の血糖値の波を緩やかにする効果が期待できる。甘いものへの衝動も、血糖値の下がりかけに起きやすい——そう知ってから、朝のタンパク質が少し大事に思えるようになった。
② 食事量の見直し——健康体重に近づくために
ダイエットという言葉を使わないようにしている。意識しすぎると、ストレスになる。ストレスはコルチゾールを上げ、脂肪を溜めやすくする。本末転倒だ。
「生活の一部を少しずつ変える」という入り方にした。
夕食のスープに卵や豆腐を一品足す。GI値の高いものを少し控える。全体の量を少し減らす。どれも「やめる」ではなく「足す・減らす」の微調整だ。
健康体重に近づくことは、血圧と血栓リスクの両方に働きかける。完璧にやらなくていい。続けることの方が、ずっと大事だ。
③ 水分補給——血流を助けるために
血液がドロドロになると、血栓リスクが上がる。水分を十分に取ることは、血流を保つための基本的な習慣だ。
冷たい飲み物より、常温か少し温かいものを選ぶようにしている。夏に向けて、意識的に。
完璧にやらなくていい
3つとも、「始めた」というより「少し変えた」というレベルだ。
それでいいと思っている。
LEPを飲み続ける限り、リスクはゼロにならない。だから完璧にやって「もう安全」という着地点もない。ならば、長く続けられる形で向き合う方がいい。
主治医に「継続観察」と言われている血圧。次の受診で数値を報告する。それが今、私にできる一番大事なことだと思っている。
同じ状況にいる人へ
診療計画書に書かれたリスクを見て、怖くなった人もいるかもしれない。
知ることは、怖いことじゃない。知らないまま飲み続ける方が、ずっと怖い。
リスクがあっても飲み続けるかどうか、どんな生活習慣を整えるか——それは主治医と一緒に決めることだ。「こういうことを始めようと思っている」と次の受診で話してみてほしい。
私はそうやって、少しずつ向き合っている。
本記事は個人の体験をもとにした記録です。LEPの継続・中止は必ず担当医にご相談ください。片足のむくみ・息切れ・胸痛など血栓を疑う症状が出た場合は、すぐに受診してください。
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