はじめに
「療育」という言葉を、はじめて聞いたとき。
私は正直、意味がよくわかりませんでした。
「治療」と「教育」を合わせた言葉らしい、とは聞いた。でも、それがどんな場所で、何をするのか。誰が行くもので、どうやって繋がればいいのか。何も知らないまま、「療育が必要かもしれません」という言葉だけを受け取って帰ってきた日のことを、今でも覚えています。
知らなくて当然だったと思います。学校で習うことでも、育児書に大きく載っていることでもない。でも、必要になった瞬間に「知っておきたかった」と感じる情報です。
この記事では、私自身の経験をもとに「療育とは何か」を書きます。難しい定義より、「知らなかった私が知りたかったこと」を軸に、できるだけ分かりやすく伝えられたらと思っています。
療育とは——まず、言葉の意味から
療育とは、子どもの発達をサポートするための専門的な支援のことです。
「治療」と「教育」を組み合わせた言葉で、正式には「療育(発達支援)」と呼ばれることもあります。
目的は、「できないことを、できるようにする」だけではありません。その子の特性や発達のペースに合わせながら、日常生活をより過ごしやすくする力を育てること、それが療育の目的です。
たとえば——
- 感覚が過敏で、騒がしい場所が苦手な子が、自分なりの対処法を見つけること
- 言葉でうまく気持ちを伝えられない子が、別の方法でコミュニケーションをとれるようになること
- 集団の場でどう動けばいいかわからない子が、少しずつ場の流れを理解していくこと
「できるようにする」というより、「その子なりの生きやすさを見つける」という感覚が近いかもしれません。
療育の対象——何歳から受けられるか
療育は、0歳から受けることができます。
「小学生になってから」「診断が出てから」でないと受けられない、というものではありません。
対象は主に、発達に心配がある・気になることがある子どもです。診断名がなくても、「気になる」という段階で相談し、支援に繋がることができる場合がほとんどです。
年齢によって、利用できる施設が異なります。
| 年齢 | 主な施設 |
|---|---|
| 未就学児(0〜6歳) | 児童発達支援事業所 |
| 学齢期(6歳〜18歳) | 放課後等デイサービス(放デイ) |
児童発達支援事業所は、保育園や幼稚園と並行して通える場所です。週に数回、専門のスタッフと一緒に遊んだり、生活の練習をしたり、感覚への慣れを育てたりします。
放課後等デイサービス(放デイ)は、小学校入学以降に利用できる場所です。放課後や長期休暇中に通い、学習・生活・社会性などのサポートを受けられます。
私の子どもは、年長の頃から放デイに通い始めました。最初は「どんな場所かわからない」という不安の方が大きかったのですが、見学に行ってみると、スタッフの方が子どもの様子を丁寧に見てくれる場所で、少しほっとしたのを覚えています。
療育の種類——何をするのか
療育には、いくつかの種類があります。施設によって取り組みの内容は異なりますが、代表的なものをご紹介します。
言語療法(ST)
言葉の発達・コミュニケーションに関するサポートです。言葉が出てきにくい、発音が気になる、会話のやり取りが難しい、といった子どもに対して、言語聴覚士が専門的に関わります。児童発達支援事業所や医療機関(小児科・リハビリ科)で受けられる場合があります。施設によって対応できる内容が異なりますので、見学時に確認してみてください。
作業療法(OT)
手先の動き・感覚への対応・日常生活動作(着替え・食事など)のサポートです。「感覚過敏がある」「不器用さが気になる」といった子どもに対して、作業療法士が関わります。児童発達支援事業所や医療機関(小児科・リハビリ科)で受けられる場合があります。施設によって対応できる内容が異なりますので、見学時に確認してみてください。
理学療法(PT)
体の動き・バランス・筋力に関するサポートです。歩き方・走り方・姿勢保持などが気になる場合に関わります。児童発達支援事業所や医療機関(小児科・リハビリ科)で受けられる場合があります。施設によって対応できる内容が異なりますので、見学時に確認してみてください。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
友だちとの関わり方・感情のコントロール・場の読み方など、社会生活で必要なスキルを練習します。小学生以上でよく行われます。
これらを組み合わせながら、その子の状況に合った支援が行われます。一つの施設ですべてを行う場合もあれば、複数の場所を組み合わせて利用する場合もあります。
療育を受けることで育つ力
「療育に行けば〇〇ができるようになる」という保証は、正直なところ、誰にもできません。
ただ、私がこの年月を経て感じていることがあります。
療育で育っていったのは、「できないことができるようになった」という側面だけではなかった、ということです。
自分の得意・不得意を少しずつ知っていくこと。苦手な場面でどう動けばいいかを、試行錯誤する経験を重ねること。「こういうときはこうすればいい」という、自分なりのやり方を見つけていくこと。
その積み重ねが、社会に出てからも「自分で動ける力」の土台になっていくと、今は思っています。
療育の受け方——はじめの一歩
「療育に繋がりたい」と思ったとき、どこから動けばいいのか。最初は私も全くわかりませんでした。
大まかな流れは以下の通りです。
① まず相談する
かかりつけの小児科・保育園や幼稚園の先生・地域の子育て支援センターなど、身近なところに「気になることがある」と伝えてみるところから始められます。市区町村の障害福祉課・子育て支援課に直接相談することもできます。
② 発達の専門機関で評価を受ける(必要に応じて)
児童精神科・発達外来・発達支援センターなどで、発達の状態を評価してもらうことができます。診断が出る場合も、「様子を見ましょう」となる場合もあります。
③ 通所受給者証を取得する
療育施設を利用するために必要な書類です。市区町村の窓口で申請できます。診断名がなくても取得できる場合がほとんどです。
③-b 障害児相談支援事業所に相談する(任意・推奨)
障害児相談支援事業所は、療育施設を探す・利用計画を立てる・複数の施設を調整するといった場面でサポートしてくれる機関です。相談支援専門員という資格を持つ専門家が担当します。
通所受給者証の取得後、施設の利用にあたって「障害児支援利用計画」という書類が必要になります。この計画を一緒に作成してくれるのが、相談支援事業所です。
「どの施設が合っているかわからない」「複数の施設を組み合わせたい」「手続きの流れが分からない」という段階で頼れる場所として、知っておくと心強いと思います。市区町村の福祉窓口や、すでに繋がっている支援機関に「相談支援事業所を紹介してほしい」と伝えるとスムーズです。
④ 施設を探して見学する
通所受給者証が手元にあれば、施設を探して見学・体験ができます。施設によって雰囲気・スタッフの関わり方・取り組みの内容が異なりますので、実際に足を運んでみることをお勧めします。
最初の一歩が一番重くてなかなか動けない、という方も多いと思います。私もそうでした。でも「相談する」というのは、決断ではなく情報収集です。相談したからといって、すぐに何かが決まるわけではありません。
まず話を聞いてもらうだけ、でも大丈夫です。
まとめ
療育とは、子どもの発達をサポートする専門的な支援です。
難しい場所でも、特別な子だけが行く場所でもありません。「気になる」という段階で繋がることができ、その子のペースで、その子なりの生きやすさを育てていく場所です。
私も、最初はその言葉の意味さえよくわかっていませんでした。でも、一歩踏み出してみることで見えてきたものがたくさんありました。
この記事が、はじめて「療育」という言葉に出会った方の、小さな道しるべになれたら嬉しいです。
家庭でできることを探しているなら
療育施設に通いながら、「家でも何かできることをしてあげたい」と思っている方に、ひとつご紹介したいものがあります。
遊びながら手を動かし、考える時間を家で作りたい——そういう方が取り入れているSTEAM教材があります。ワンダーボックスは、毎月自宅に届くタブレットアプリ+工作・アートのキットです。「何かに集中して取り組む時間を家でも作りたい」「試行錯誤する体験を積ませたい」という方が利用しているサービスです。
施設での療育の「代わり」になるものではありません。あくまで、家庭での遊びの選択肢のひとつです。気になる方は公式サイトをのぞいてみてください。
相談の入口について、もう少し詳しく知りたい方はこちらも読んでみてください。
療育を選んだ理由を、自分の言葉で書いた記事はこちらです。
→ 療育は可哀想じゃない——夫も親も反対した。それでも動いた理由
このブログは、発達障害・グレーゾーンの子を育ててきた一人の母親の経験をもとに書いています。医療的な判断や個別のご相談は、専門機関にご相談ください。


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