高校のことを考え始めたきっかけ
2年ほど前、学校の特別支援コーディネーターとの面談でこんなことを言われた。
「子どもの将来をどうしたいか、ちゃんと考えていますか。特別支援を受けているんだから、成長したら勝手に道を選んでくれるようになる——そうは思わないでください。18歳で成人する。教育から社会へ出るとき、どういう状態で送り出したいか。今からある程度イメージして、伴走し続けないといけない。」
やんわりした言葉ではなかった。でも、そうじゃないと伝わらないことも、きっとある。
ただ正直に言うと、そのとき私には「先のこと」を考える余裕がなかった。
息子は当時、不登校が続いていた。小学校生活の半分以上、学校に行けてなかった。選択肢を考える以前に、今日をどう乗り越えるかで頭がいっぱいだった。不登校に、選択肢なんてなかった。
普通級から特別支援学級へ、交流を経て再転籍して、ようやく登校できるようになった。息子を受け入れてくれる放課後等デイサービスを見つけてもらい、順調に通えるようにもなった。そうした積み重ねの先に、今がある。
小学校の最上級生になったことを自覚してか、息子は積極的に学校行事に関わろうとしている。金管バンドも、放送委員会も、自分から「やりたい」と言って飛び込んだ。この数ヶ月でまた、ひとつ成長した。
だから今、悩める。
選択肢を考えられる状態になってくれたから、ようやく悩める。
だからこそ、慎重でいたい。
息子が選ぼうとすることを邪魔しないように。
息子が将来の目標に少しでも近づける選択ができるように。
この子の「選ぶ力」を、奪う進路を選びたくない——それが今の私の軸だ。
療育手帳について調べた
選択肢を広げるために、まず「手帳」について調べ始めた。
療育手帳は、福祉サービスの利用や就労支援など、さまざまな場面で使える。持っていると持っていないとでは、使える選択肢の数が変わってくる。
息子は申請することも、検査を受けることも、今の状態でできる。
ただ、数年前に受けた検査の結果を踏まえると、手帳の発行が難しい可能性がある——窓口の方にはそう伝えていただいた。断言はされていない。それでも受けますか、と。非常に誠実な対応だったと思っている。
そして、もう一つ気になったことがある。
一度試験を受けて結果が出なかった場合、再申請はなかなかできないらしい。
今、息子は順調に成長している。でも成長しているということは、将来、もし本当に療育手帳が必要になったとき——たとえば中学3年生のタイミングで——申請できる状態でいてほしい。
今受けて、結果が出なかったら。その選択肢が閉じる。
だから今は、申請しない。
今回知ったのは、療育手帳の「有用性」だ。持てるなら、持っていたほうがいい。ただ、タイミングを間違えてはいけない。
精神手帳という選択肢を知った
では今、何ができるか。そう考えながら調べていくうちに出会ったのが、精神障害者保健福祉手帳、通称「精神手帳」だった。
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、この手帳の取得対象に含まれる。知的障害がなくても、自閉症の診断があれば申請できる。
精神手帳は、「この子には医療的な配慮が必要です」ということを証明するものだ。
学校や職場、あるいはさまざまな手続きの場面で、配慮を求めることができる。わがままじゃない、必要なことなんだ、と伝えるための根拠になる。
そういう意味で、精神手帳と療育手帳は役割が異なる。どちらか一方でなく、それぞれのタイミングで取得を目指せるものだと理解した。
精神手帳で何ができるか——自分で確認した範囲で書く
精神手帳について調べた内容のうち、自分で確認できた範囲を書く。
ここは正確にいきたい。制度の情報は、間違って伝えると人の判断を狂わせる。
申請の基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請窓口 | 市区町村の障害福祉担当窓口 |
| 必要書類 | 精神科・神経科医師の診断書(初診から6か月以上経過が条件) |
| 有効期限 | 2年ごとに更新 |
| 等級 | 1〜3級(状態に応じて判定) |
使えるもの
- 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)の利用
- 障害者雇用枠での就職
- 各種税制優遇・公共交通機関の割引
一点、書いておきたいこと
「精神手帳があれば特別支援学校の高等部に入学できる」という話を目にすることがある。ただ、私は現場や担当の方からそのような話を直接聞いたことはない。噂は噂として受け取り、進路を考えるなら必ず直接確認してほしい。
今、急いでいる理由
精神手帳の申請には、医師の診断書が必要だ。
息子の主治医が、近々退職されるらしい。
長年診ていただいてきた先生だ。関係性のある今の先生に診断書をお願いできるうちに——と思うと、自然と足が動く。
これも「今できることをやる」の一つだ。
息子に進路の話をするということ
進路の話を息子にしようとすると、表情が曇ることがある。
まだ11歳だ。高校、就労——そんな言葉は、彼にとって遠くて重い響きかもしれない。
息子が曇った顔をするとき、私は少し間を置くようにしている。
「答えを出さなくていい。ただ、こういう道があるんだよ」——それだけ伝えて、あとは待つ。
一度に全部話さなくていい。親が焦らずにいることが、たぶん一番の安心になる。
それでも私は、「高校に行くこと」だけが正解とは思っていない。就労という道もある。彼が自分で選べる状態にしておくこと——それが今の目標だ。
どのタイミングで、どんな言葉で伝えるか。それはまだ、ゆっくり考えていいと思っている。
知らないことで困るのは、息子だった
手帳のことを、私はずっと「うちには関係ない」と思っていた。
制度を知ろうとしなかった。必要だと感じていなかった。
でも気づいた。
知らないことで困るのは、私ではなく息子だ。
使えるはずの選択肢を知らないまま、タイミングを逃す。それだけは避けたい。
だからこのブログに書く。
同じように「うちはまだ先の話」と思っているどこかの誰かに、少しでも早く届けば——そう思いながら。
この記事は、2026年4月時点に個人で確認した情報を記載しています。制度や運用は自治体・時期によって異なる場合があります。必ずご自身で最新の情報をご確認ください。


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