発達障害の子を育てていると、「相談してください」という言葉によく出会います。
でも——どこに?誰に?何を?
相談支援専門員、スクールソーシャルワーカー、児童相談所、発達相談センター。調べるほど窓口が増えて、結局どこにも連絡できないまま、また一人で抱える夜が続く。
そういう経験、私にもありました。
この記事では、5つの相談窓口の「本当の役割」と「使い分け」を整理します。制度の説明ではなく、「何に困ったとき、誰に話せばいいか」を軸に書きました。
相談するのが怖い、という気持ちについて
窓口の話に入る前に、一つだけ。
「相談に行くのが怖い」と思っている方、いますよね。私も最初はそうでした。何かを認めてしまう気がして、動けなかった。
でも今思うのは——相談とは、「弱さを見せること」ではなく、「一人で抱えるのをやめること」だということです。
話してみて、何も変わらなかったとしても、「あなたの話を聞いた人がいる」という事実は残ります。それだけで、少し違います。
怖くても、大丈夫です。続きを読んでみてください。
相談窓口が多すぎて、どこへ行けばいいかわからない
「相談」と検索すると、本当にたくさんの窓口が出てきます。自治体によって名称も違うし、どこが何をしてくれるのかも分かりにくい。
まず大前提として——どの窓口が「入口」になるかは、今あなたがどの段階にいるかで変わります。
| 今の状況 | まず当たる窓口 |
|---|---|
| 発達が気になり始めた段階 | 発達相談センター |
| 療育や福祉サービスを使い始めた段階 | 相談支援専門員 |
| 学校との関係・支援体制で困っている | SSW(スクールソーシャルワーカー) |
| 学校の環境や支援体制を変えたい | 就学相談・教育相談 |
| 育児全体が限界で、誰かに全部話したい | 児童相談所 |
これを頭に入れてから、次を読んでください。
5つの窓口——それぞれ何をしてくれる人か
相談支援専門員——福祉の地図を一緒に描いてくれる人
療育・放課後等デイサービス・障害福祉サービスなど、様々な支援を使い始めると「手続きが多すぎて何が何だかわからない」状態になります。そのときに「全体の地図」を一緒に描いてくれるのが、相談支援専門員です。
個別支援計画を立てたり、複数の支援機関をつないだりするのが主な仕事。行政への申請サポートもしてくれます。
担当者によって、動き方の熱量にかなり差があります。「あまり連絡が来ない」「何をしてくれているのか分からない」と感じたら、変更を申し出ることができます。合わないと思ったら、遠慮しなくて大丈夫です。
スクールソーシャルワーカー(SSW)——学校と家庭をつなぐ橋渡し役
学校のことで困っているとき——先生とのやりとりがうまくいかない、支援体制について話し合いたい、学校以外の機関ともつなげてほしい——そういう場面で動いてくれるのがSSWです。
SSWは学校に常駐していないことが多いです。「週に1回の巡回」だったり、「学校に申請して初めて来てもらえる」形だったり、自治体によってかなり違います。まず学校の先生に「SSWに入ってもらいたい」と伝えてみてください。
就学相談・教育相談——学校・教育委員会・家庭をつなぐ場所
「就学相談」というと、小学校入学前に学校の選択をするための相談、というイメージを持つ方が多いかもしれません。でも多くの自治体では、入学後も「教育相談」という形で、同じ窓口に相談できます。
学校のことで「今の環境がうまくいっていない気がする」「もう少し支援を手厚くしてほしい」と感じたとき、学校と家庭の間に立って、教育面での支援を一緒に考えてくれる専門機関です。教育委員会の管轄ですが、子どもの状況を軸に動くことが役割です。
私自身、息子が小学1年のとき、学校のことを誰かにちゃんと聞いてほしくて相談しました。そこから、支援級指導員のような方が定期的に学校へ訪問して環境を確認し、改善してくれるようになりました。小2で普通級に転籍するときには通級を勧めてもらいました。
通級を利用するための手続きは、在籍している小学校で行います。ただし、通級指導教室が在籍校にない場合は、別の学校に通う「他校通級」という形になることもあります。その場合、送迎は保護者が担うことになります。学校を通じて申請し、必要な書類や面談など、保護者が自分で動かなければならない部分もあります。「通級を使いたい」と思ったら、まず担任か、学校の特別支援教育コーディネーターに確認してみてください(担任が兼任していることも多いです)。
※ 名称は自治体によって異なります。「特別支援教育相談センター」「教育相談センター」「就学相談室」など、市区町村の教育委員会に問い合わせると案内してもらえます。
児童相談所——「相談に行く」と「保護される」は別のことです
多くの方が持っているイメージ——「児相に連絡すると、子どもを連れて行かれるかもしれない」。
そのイメージが「相談できない」壁になっているなら、一つだけはっきり言わせてください。
「相談に行く」と「保護される」は、まったく別のプロセスです。
育児に困ったとき、限界に近いとき、誰かに状況を全部話したいとき——そういう「相談」を受けてくれる機関として、児相は動いています。特に「自分でも何が問題かよく分からないけど、とにかく限界」というときに、話を受け止めてくれる場所です。
発達相談センター・発達支援センター——最初の「話を聞いてもらう」場所
「発達が気になるけど、診断を受けるほどかどうかもわからない」「どこから始めればいいかわからない」——そういう段階で一番入りやすいのが、発達相談センターや発達支援センターです。
名称は自治体によってかなり違います。「○○市発達センター」「こどもサポートセンター」「子ども家庭センター」など。まずお住まいの市区町村の窓口(子育て支援課など)に「発達が気になる子の相談はどこですか」と聞いてみるのが、一番確実です。
困りごと別・どこに相談するか
もし、手続きや制度のことで頭がいっぱいなら
→ 相談支援専門員に連絡する。受給者証の申請、療育施設の選び方、放課後デイの探し方——「何から手をつければいいか」を一緒に整理してもらえます。
もし、学校との関係や支援体制でつまずいているなら
→ 学校の先生に「SSWに入ってもらいたい」と伝えてみる。家庭と学校の間に立ってくれる人が入ると、話し合いが進みやすくなります。
もし、学校の環境や支援体制を変えたいなら
→ 就学相談・教育相談に連絡する。「今の状況を見てほしい」という入り口で大丈夫です。教育委員会を通じて、学校側に働きかけてもらえる場合があります。
もし、発達を疑い始めたばかりで、何も分からない段階なら
→ 発達相談センターに電話する。「診断が出ていなくても相談できますか」と聞いて大丈夫です。ほとんどの場合、診断の有無にかかわらず相談に乗ってもらえます。
もし、誰かに全部話したくて、でも誰にも言えていないなら
→ 児童相談所に電話してみる。「育児のことで話を聞いてほしい」だけでいい。それだけで動いてもらえます。
まとめ——一人で抱えない、という選択
窓口を調べている間、あなたはずっと一人で考えていたんだと思います。
誰かに話すことは、問題を「解決する」ことではなく、「一人で抱えるのをやめること」です。
相談したからといって、すぐに何かが変わるわけではないかもしれない。でも、「あなたの話を聞いた人がいる」という事実は、確かに積み重なっていきます。
一人で抱えないでください。
話を聞いてくれる人は、あなたが思っているより、ちゃんといます。
相談支援専門員との実際の「出会い方」については、体験記もあわせてご覧ください。
→ 相談支援専門員と出会えたのは、偶然でした——小1〜4、不登校の4年間を支えてもらった記録


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